La Fin des Suites

Bach et autres バッハ無伴奏シリーズ、遂に最終回を終え、無事に6番まで走りきりました。
今年一年かけてゆっくり勉強してきて、それでいていつも勉強し足りない気持ちばかり勝っていて、しんどいことも多かった…のですが、昨日の最終公演でのジーグで、今までに経験したことない(ランナーズハイ?)、光に包まれているような感覚になりました。
バッハは本当にエベレストのようで、私はそこではもうチリのような存在なのですが、そのジーグの時は、コントロールやイメージを超えて、自然に力が湧いてくるというか、音楽が勝手に身体を動かしてくれるというか…何も考えていなくても、圧倒的な信頼感がありました。
上手く言葉にはできないのですが、長く時間をかけてやってこないと出現しない体感だったのだろうと思います。

夏頃に煮詰まって、思い切ってガット弦、バロックボウ、415hzに挑戦したことも、本当に良い勉強になりました。
今までと違う視界で楽器を弾けて、本番に対するスタンスも変わってきて、とても救われたように思います。
毎日415hzと442hzを行き来したり、モダンボウとバロックボウを持ち替えたりして、オーケストラとの両立は大変だったのではと言われますが、本人は大変という自覚はあまりなくて、違うからこそ切り替えて臨めたというのもあったのかもしれません。

バッハという巨峰を前に中途半端な部分もたくさん残って、不甲斐ない思いもたくさんした一年でしたが、結局はその存在に支えられていたのは間違いなく、今はとにかくこの6番の最後に書いてあるアンナ•マグダレーナの一言に全てを込めて、お客様、オーナー、そしてバッハに感謝を表したいと思います。
La Fin des Suites. 
ありがとうございました。

佐藤有沙 cellist Arisa Sato Official Website

©︎Shinji Kagawa ©︎Yukako Kusano

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