2020
早や年の瀬…
今年は年始にイスラエルで演奏旅行をしたきり、一度も海外に渡航しないという、私にとって異例のStay in Japanの一年となりました。
今思えば、その後すぐイスラエルでは国外から演奏家を呼ぶことはできなくなったので(イスラエルは一早く国境を閉鎖しました)、本当にギリギリのすべり込み、幸運でした。
連日のリハーサル、本番のスケジュールは正に怒涛で、私を含むソリスト3人は文字通り食べる暇もないほど!
ユダヤ教独特のシャバット(安息日、お店が全部お休みになります)などと重なったりして、みんなカプチーノでむりやり空腹をごまかしながらリハーサルしたりしたのも、昨日のことのように思い出されます。笑
最後の演奏会が終わったときには、まだ1月なのに私もうこの一年分頑張ったわ…なんて思ったのですが、実際3月以降本当に全ての演奏会がキャンセルになってしまうとは。。
滞在中アメリカとイランの応報が緊迫して、日米企業に大使館から撤退勧告が出たりしつつ、連日の大雨で洪水地域が発生したりしつつ、それでもまだ自由に外を歩けて、野良猫天国の写真もたくさん撮れた頃。
今イスラエルは内政的にも非常に難しくなってしまい、イスラエルフィルの知人たちもデモに参加したり、ストリートで弾いたり、大変な日々を送っているようです。
↑ベツレヘムのバンクシー(世界一眺めの悪い)The Walled off Hotel前
日本は奇跡的に演奏会が6〜7月から復活し、マスクをしたり、除菌をしたり、距離を取ったりしながら、なんとか細々と続け、今は客席数100%に戻っているところもあります。
無観客配信や収録なども多かったのですが、やはり客席が50%だったとしても、お客様のありがたみをこんなに痛感した年は初めてでした。
なんと言っても、各国のお客様の空気の違い、昼と夜の公演での反応の違い、初日と千秋楽での違い…色々と感じながら弾くのが何よりの生きる実感であり、幸せなので、どこでも同じように、いつでも同じように弾く、或いは練習と同じものを目指すというのは、音楽とは別物だと思うのです。
逆に言えば、お客様ありきということ。
それが1人でも2人でも100人でも、生のお客様だからこそ実現する相互のコミュニケーションの結果が、そこで生まれる音楽。
あたたかいお客様の空気が、演奏家にとって最高のインスピレーション。
また色んな国で、色んな場所で、たくさんの人とコミュニケーション取りながら音楽できる日を望みながら、その時にもっと良いものを出せるよう、引き続き渡航が難しそうな来年も、過ごしていきたいと思います。
0コメント